百年つづけ!みんなの『釣り堀遊び』(南区)
賛助会員が支える『地域の縁づくり』(令和7年6月)
相模原市社会福祉協議会の賛助会費は、市内各地域の福祉課題をもとにした、住民や関係機関による地域づくり活動に使われています。
色鮮やかな魚のイラストが泳ぐシートに、磁石のついた竿を垂らして楽しむ『釣り堀遊び』。
南区に住む野口徹也さんが2004年に市立相模原麻溝公園で始め、高齢を理由に2021年に活動を終了しました。
しかしその約1年後、釣り堀遊びが復活。その中心にいたのは舩橋真理さん。
地域のゆるやかな交流の場となっているこの『釣り堀遊び』を引き継いだ経緯を伺いました。
人生を豊かにするつながりを
釣り堀遊びを引き継いだ舩橋さん
「『何かを買わないと豊かに暮らせない』という風潮の世の中に、息苦しさを感じていました。
人生を豊かにする方法は「買う」以外にもあるはず。
何かできないかと考えていた矢先、野口さんの活動の記事を読み『これだ!』と思いました」
(舩橋さん)
『釣り堀遊びが幕を閉じる』という記事(2021年12月23日タウンニュース記事)を読み、活動を引き継ぎたいと感じた舩橋さん。
しかし、当時舩橋さん自身もうつ病を治療するさなかにいました。
「一年経っても気持ちが変わらなかったら連絡しよう」と考え、一年後『釣り堀遊び復活の力になれれば』と市社協ボランティアセンターへ連絡を入れました。
「百年」つづく居場所へ
3,000匹近くあった野口さんお手製の魚たちは、近隣の保育園などに寄付されていたため、魚のイラストを作り直すところから『釣り堀遊び復活プロジェクト』はスタートしました。
舩橋さん一人で描く数は限られているため、市内の障がい者施設の利用者や学生、絵を描くのが好きなボランティアなど、たくさんの人の協力を仰ぎ、現在は800匹を超えているそうです。
絵が苦手な人のために、舩橋さんが下絵を描き、その絵を印刷して塗ってもらうことも多いといいます。
「ぬり絵の懐の深さを実感しています。同じ下絵でも、塗った人の個性がかならず出てくる。
同じ柄なのに、別々の魚にちゃんとなるんです。
どんな色で描いても全部正解!という感じが、野口さんが作った『釣り堀遊び』らしいなと思っています」(舩橋さん)
塗り絵で描かれた「ちんあなご」のイラスト
釣り堀遊び復活に際して、野口さんからどのような引き継ぎがあったのかを尋ねると、
「『魚を描いて、まくだけです。大いに楽しんで!』という言葉のみです」
と笑う舩橋さん。
しかし、その言葉と笑顔が活動の支えになっているそうです。
「釣り堀遊びは、野口さんがおっしゃる通りとてもシンプル。
だからこそ長く続いたんだと思います。
魚を描いてくれるボランティアの方も含めて、みんなで作り上げるみんなの居場所なので、スタッフ、
参加者の垣根もなくて、みんなに手伝っていただきながらやっています。
私自身も障がいを持っているので、どんな人でも参加できる場所にしていきたい。
みんなが楽しめるこの場所が、いろいろな人の手によって、百年続いたら面白いなって思っています」
(舩橋さん)
と笑顔で話しました。
現在も魚のイラストは募集中。今後は岩などの立体物も置きたいと、夢を語りました。
初代代表・野口さんと再会
5月末、舩橋さんは現在の活動の様子を伝えるため、野口さんの自宅を訪問しました。
お二人が会うのは約3年ぶり。
体調を崩し、自宅で過ごすことが増えている野口さんでしたが、活動の様子を聞き、
「自分一人でやっていた活動を引き継いでくれているなんて。こんなに嬉しいことはない。涙が出ちゃうよ」
と目頭を押さえる場面も。
野口さんが活動に行く際、毎回おにぎりを握り活動をささえていた妻の悦子さんも、その姿を見て微笑んでいました。
目頭を押さえる野口さん
舩橋さんが釣り竿の具合を見てもらおうと野口さんに見せると、
「よくできてますよ。間違いなんてないからね。上手い下手もない。大いにやってください」
(野口さん)
と『二代目』を励ましました。
野口さんが一人で始めた釣り堀遊びの精神は、約二十年の時を経て、舩橋さんや釣り堀遊びに参加するさまざまな方に着実に受け継がれ、地域にも息づいています。
初代代表・野口さん(右)
妻・悦子さん(中央)
2代目・舩橋さん(左)
この他にも市内ではさまざまな地域福祉活動が行われ、賛助会費はその貴重な財源になっています。
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