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稲葉 智枝子さん(2011年7月)

稲葉智枝子さんの写真

稲葉智枝子(いなば ちえこ)さん
昭和17年、相模原市緑区中野生まれ、県外の大学に進学、就職し、結婚後再び緑区中野に戻る。現在、津久井青年学級(知的障害者の余暇活動支援)の会長の他、神奈川県社会福祉士会に所属して、市地域包括支援センター運営協議会委員や成年後見活動の支援を行うなど、社会福祉士(ソーシャルワーカー)として高齢者や障害者に関連した多岐に渡った活動を行っています。

 

津久井青年学級に関わるようになったきっかけをお聞かせください。

 13、4年程前になると思いますが、津久井町社会福祉協議会で、ボランティア関連の仕事をしていたときに、障害者と一緒に活動するグループを立ち上げようという声が住民からあがり、町社協が行っていた知的障害者余暇活動支援と家族のレスパイト支援活動を発展させて、その時のボランティアと一緒に青年学級の組織化を行いました。町社協を退職してからも当時のボランティアと共に活動に関わっています。

青年学級は、どのような活動をされているのですか。

 20代から40代のメンバーと60代から70代のボランティアが、メンバーの家族の協力のもとに、奇数月の第3土曜日に10~20名が集まって、津久井中央公民館などで活動しています。
 今年の活動としては、5月のとうふづくりに始まり、7月のボーリング、9月のバスハイク、11月のお菓子づくり、1月のうどんづくり、3月のカラオケなどを予定しています。詳細は、メンバーの意見を尊重して決めていきます。
 また、メンバーもボランティアも家族も一緒に活動し運営したいと考えていますので、
7月のボーリングや11月のお菓子づくりは、家族が内容を企画するなど、役割を分担して実施する予定です。
 昨年度までは、青年学級(以下「会」という。)は、市社協の事業として運営していましたが、今年の4月からは、独立したグループとして、つまり自主活動として再出発しました。
 ひとりではできない余暇活動、みんなで集うことによって友達の輪を広げていく、あるいはまた、様々な世代の人との人間関係を築き、メンバーが成長し、生活の質の向上に少しでも役立つことができるような活動が展開されることを会では、願っています。

青年学級の会長になられた経緯を教えてください。

 4月に自主活動として再出発することに伴い、新たに会長を決めることになりました。
メンバーやご家族の方からは、「長」は、できませんという声が多く出て、その結果、継続して関わっているボランティアの中で、たまたま年齢が一番若い?私が会長を引き受けることになりました。 
 私も68歳になり、若い頃のような情熱もなく、心身ともに故障の多いこの頃ですが、この会のバトンを次の走者に確実に渡すべく、精一杯走りとおさねばならないと、そのような心境です。
 ですから、会の活動を繋いでいくためには、市社協のボランティアセンターとも連携をとり、メンバーと同世代のボランティアに参加を得ながら、一緒に会の運営をしていきたいと思っています。会の活動に興味を持って、一緒に活動してくださる方がいましたら、ぜひご連絡をお待ちしています。

青年学級の活動で何かエピソードがありますか。

 会の活動を重ねる中で、メンバーの動きやボランティアの対応、家族の思いなど共有するようにしています。その成果でしょうか、メンバーの表情から明るさが感じられたり、次の行事を楽しみにしているメンバーから連絡をもらったりして、だんだんと活動に一体感がでてきたような感触を得ています。自分としてもやりがい生きがいを感じます。
 仲間どうしが、気にかけて思いやる気持ちが、お互いの信頼関係につながるのだと思いました。

稲葉さんの考えるボランティア活動ってどのようなものですか。

 そうですね。「ボランティア活動」と「仕事・趣味・特技・生き方」とを比較してみます。そこには、同じ点と異なる点があると思います。
 まず同じ点ですが、どちらも“好きだから”“その行為”をするという点が似ています。つまり、その根底にある“気持ち・精神”が重なっています。
 また、活動する場所も一般的には、自分たちの生活する場にあるということです。
 私は、「ボランティア活動」を地域の一住民としての活動、誰もがやれる普通の活動と同じものと認識しています。つまり「ふつうのおばさんによる活動」です。
 異なる点は、「ボランティア活動」は、その場で困っていることをあるがまま(即事的)に捉えて、共感して、即対応することが大切だと思っています。
 即対応して、それが相手の役にたっているという気持ちを素直に受け入れて、ボランティア自身の喜びや生きがいにつながることが、仕事などとは、異なっているのではないかと思っています。これが、私の考えるボランティア活動です。
 これからは、その活動をサポートし、コーディネートする社会福祉士などの人材も重要になってくると思います。

今後の青年学級の活動について、何かご希望があれば、お話しください。

 私たちの「会」は、再出発したばかりです。
 当面は、余暇支援活動を行うことで手一杯ですが、自主グループとして活動を続けてい
くために、避けて通れないものとして、障害者の「親なきあと」の生活課題、「成年後見」など権利擁護の問題があると思います。
 少し前ですが、私が、障害者団体の研修会で、「成年後見制度」の研修講師をさせていただいたときに、参加者のみなさんは、大変関心を持たれていました。その様子から、これからも「知りたい・考えたい。」という声が上がるだろうと思います。
 「会」としては、制度の利用について、市社協の開催する研修会などに参加して、学んでいきたいと思っています。そのために具体的に障害者をとりまく課題の共有化を行いながら権利擁護を学べるような研修会が、市内で開催されることを希望します。
 みなが生き生きと幸せに暮らせる地域になるためにもどうぞよろしくお願いします。


インタビューを終えて

 稲葉さんは、ご自身の活動を誰もができる「おばさんの活動」としてとらえています。
「肩書きのあるスペシャリストなんかでなく津久井地区に住んでいるどこにでもいる“おばさんの活動”(けれども物事に誠実に立ち向かおうとする意志を持つ人の活動)です。」と、とても素敵な笑顔でお話しされていました。
 また、「活動にどのように関わればよいのか、どんなことに留意したほうが良いのかなどのアドバイスをしてくれるコーディネーターが必要だ。」ともおっしゃっていました。
 活動の中で、課題や壁に突き当たることも多々あります。課題によっては、グループ内で解決できることもあるし、できないこともあると思います。研修会の開催もそのひとつだと思います。
 そんなときは、「市社協のボランティアセンター」にご相談ください。お互いに智恵を出しあって、ご一緒に考えていきます。みなさんの自主的な活動を側面的に支えるセンターとして、少しでもお役にたてればと思いました。

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